札幌地方裁判所 昭和51年(わ)167号 判決 1976年7月07日
本籍
札幌市北区北三四条西一〇丁目一四四番地
住居
右同
会社役員
深川鐵藏
大正五年七月二五日生
事件名
所得税法違反
公判出席検察官
奥真祐
同弁護人
高田照市
主文
被告人を懲役一年六月および罰金二、五〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判が確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、不動産の売買を業としていたものであるが、所得税を免れようと企て、売上収入を除外・圧縮して簿外預金を設定する等の不正な方法により所得を秘匿したうえ、昭和四七年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度において、実際総所得金額が一七二、一一四、五六七円であり、これに対する所得税額が一一六、三四四、七〇〇円であるのにかかわらず、同四八年三月一四日、札幌市東区北一六条東四丁目所在の所轄札幌北税務署において、同税務署長に対し、総所得金額は六七、〇五一、五八一円であり、そのうち六六、七三七、四〇〇円は事業所得であるのに譲渡所得であると偽り、右総所得に対する所得税額は九、九六六、三〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、もって被告人の右事業年度の正規の所得税額と申告税額との差額一〇六、三七八、四〇〇円を免れたものである。
(証拠の標目)
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の検察官に対する各供述調書
一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、砂山武雄、栗山八男、三ツ屋ユリ、越前敏勝、山口富雄、近藤貞雄、田村孝、沢口幸一郎、宮野寿美江、阿部善吉、藤沢和雄、深川コウの検察官に対する各供述調書
一、大蔵事務官作成の調査事績報告書と題する各書面
一、検察事務官作成の電話通信書
一、押収してある所得税の確定申告書一綴、譲渡所得納税相談兼申告審理事績書一綴、土地交換契約証一通、不動産売買契約証書(収入印紙添付のもの)一通、不動産売買契約証書一通、名刺(三栄不動産恒本商事名義外三八名分、但し近藤貞雄名義のものは三枚)四一枚、手帳(茶色表紙・北海道酒類販売株式会社発行)一冊、簡易調書等綴一綴、深川鉄蔵名義の名刺(紙製ケース入り)七五枚、従業員証明書(青色ビニールケース入り)一通、メモ(一六枚綴り)一綴(昭和五一年押第一一三号の一、二、同号の三の1ないし3、同号の四ないし九)
(法令の適用)
一、判示所為 所得税法二三八条一項、二項、一二〇条一項三号
(罰金刑併科)
一、労役場留置につき 刑法一八条
一、刑の執行猶予につき 同法二五条一項
(裁判官 田中康郎)